ラウンドテーブルセッション

ラウンドテーブルセッション1Round Table Session 1

基礎と臨床をつなぐ経口剤開発の最前線

オーガナイザー
尾上 誠良 (静岡県立大学薬学部)
上林  敦 (アステラス製薬(株))

最も広く用いられる経口剤は多くの利点を有するが、その一方、経口投与では薬物が吸収されるまでに多くのプロセスを経なければならず、また特定の病態下では生理的要因により経口吸収性が変動する。臨床使用において前臨床研究による予想と大きく異なる経口吸収性を認めることがあり、このような「基礎と臨床のギャップ」を埋める試みは安定した薬物治療を提供するうえで急務な課題の一つである。本ラウンドテーブルでは医薬品開発の最前線で経口剤設計・評価研究に従事する企業研究者が「基礎と臨床での経口吸収性データの乖離」「より正確なヒト薬物動態予測」「基礎と臨床をつなぐ製剤設計戦略」について概説し、「基礎と臨床のギャップ」に関する課題と可能性ある解決方法について議論する。

経口吸収のモデリング、シミュレーション、そして予測
真野 高司 (小野薬品工業(株))
臨床研究への製剤設計戦略
安藤 秀一 (第一三共(株))
創薬と臨床開発・製剤開発をリンクする生物薬剤学研究
上林  敦 (アステラス製薬(株))

ラウンドテーブルセッション2Round Table Session 2

経口剤の生物学的同等性に及ぼす食事の影響:BE試験ガイドラインの改正にあたって

オーガナイザー
松井 一樹 (沢井製薬(株))
山下 伸二 (摂南大学薬学部)

経口医薬品の剤型追加や後発医薬品開発に関わる生物学的同等性(BE)試験ガイドラインの改正が公表され、新ガイドライン(案)では溶解改善製剤に該当する場合、食後投与条件(高脂肪食)でのBE試験が必須となった。従って、これら製剤は食事がBEに及ぼす影響を加味した上で製剤開発を進める必要がある。 本ラウンドテーブルでは、今回のガイドライン改正に至った経緯をサイエンスベースで紐解き、食事が経口剤のBEに及ぼす影響を多面的に考察する。特に、食事の摂取に伴う消化管生理の変動が製剤挙動に影響を及ぼす可能性についても言及する。これらを踏まえ絶食・食後両条件下でのBE試験を見越した製剤開発・例数設計法を参加者と議論する。

経口固形製剤の生物学的同等性試験における絶食及び食後条件に関するガイドライン改正
栗林 亮佑 (医薬品医療機器総合機構)
経口固形製剤の生物学的同等性に及ぼす食事の影響:製剤間差の検出力に関する考察
山下 伸二 (摂南大学薬学部)
即放性製剤の食後BE試験で考慮するべき事項(後発医薬品開発の観点から)
松井 一樹 (沢井製薬(株))

ラウンドテーブルセッション3Round Table Session 3

個別化医療の実現に向けた核酸・遺伝子創薬への挑戦

オーガナイザー
根岸 洋一 (東京薬科大学薬学部)
秋田 英万 (千葉大学大学院薬学研究院)

個々の患者レベルでゲノム情報解析し、治療や投薬プロトコルに生かす『個別化医療(Precision Medicine)』の概念が急速に広がりつつある。ヒトゲノムのビッグデータの保存・解析技術が進展すると共に、癌免疫療法への適応に資するネオ抗原や、癌の進展を抑制するための治療標的が急速に同定されるであろう。特定の遺伝子を標的細胞に移入する遺伝子治療や、特定の遺伝子の発現を抑制する核酸治療(アンチセンス核酸やshort interference RNA: siRNAなど)は、個別化医療や癌免疫医療を実現するための有力な技術になると期待される。実際、近年、遺伝性希少疾患に対する核酸医薬品や遺伝子医薬品が相次いで承認されている。このような背景を踏まえ、本ラウンドテーブルでは、次世代の日本発核酸・遺伝子創薬を目指して、各種モダリティーの世界動向、既存技術との比較、薬物動態(DDS)のメカニズムを整理し、討論することを目的とする。課題とその解決策について活発に議論する場を提供したいと考えている。

環境応答性脂質様材料を基盤としたmRNA導入技術の開発
秋田 英万 (千葉大学大学院薬学研究院)
化学修飾核酸を用いた遺伝子発現制御アプローチ
堀 真一郎 (塩野義製薬(株))
希少疾患を対象とした個別化(プレシジョン)核酸・遺伝子医療の現状と課題
根岸 洋一 (東京薬科大学薬学部)

ラウンドテーブルセッション4Round Table Session 4

エクソソームを利用したDDS開発の現状、課題と将来展望について考える

オーガナイザー
勝見 英正 (京都薬科大学薬学部)
石原 比呂之 (エーザイ(株))

細胞から分泌される膜小胞の一種であるエクソソームは、生体内シャトルとして、その構成成分である脂質やタンパク質、核酸などを他の細胞へ運搬し機能制御を行うことから、siRNAやmiRNAなどの核酸医薬を送達する内因性の薬物キャリアとしてDDSへの応用が期待されています。そこでDDS製剤臨床応用FGは、エクソソームのDDSへの活用法とその実用化に向けての課題・展望を共有することを目的として本ラウンドテーブルを企画しました。本ラウンドテーブルでは、高倉喜信先生(京都大学大学院薬学研究科)から、エクソソームの産生・調製方法、薬物の搭載方法や体内動態制御法について紹介いただくともに、井上貴雄先生(国立医薬品食品衛生研究所)より今後エクソソームの活用が期待される核酸医薬の開発動向について最新の知見・話題を提供いただきます。さらに、エクソソームをDDS製剤として活用する上での現状の課題を整理するとともに、その解決策に関する議論を共有いただく予定です。

細胞由来製剤エキソソームの体内動態解析とドラッグデリバリーへの展開
髙倉 喜信 (京都大学大学院薬学研究科)
核酸医薬品の開発動向とDDS
井上 貴雄 (国立医薬品食品衛生研究所)

ラウンドテーブルセッション5Round Table Session 5

バイオ医薬の経粘膜吸収促進技術の最前線

オーガナイザー
伴野 拓巳 (摂南大学薬学部)
星 裕太朗 (小野薬品工業(株))

ペプチドや核酸、抗体医薬などのバイオ医薬は疾患特異的かつ副作用の少ない治療を可能にする一方、高い水溶性と巨大な分子量のため膜透過性は極めて低く、ほとんどが注射剤としての開発を余儀なくされてきた。一方、2019年9月世界初の経口GLP-1作動薬セマグルチド(リベルサス®)が米国で承認された。本製剤は吸収促進剤としてサルカプザートナトリウム(SNAC)を含有し、ペプチド性医薬品のセマグルチドの経口吸収改善を実現している。本製剤は、商業的に不可能と思われてきたバイオ医薬の経粘膜吸収製剤の開発が可能であり、その要望が高いことを示す貴重な事例である。本セッションでは各演者の先生方から、バイオ医薬の経粘膜吸収促進技術の臨床ニーズおよび最新の吸収促進技術に関する知見をご講演頂き、SNACに続く経粘膜吸収促進技術開発の礎を築くための議論の場としたい。

経粘膜吸収促進技術が臨床にもたらすインパクト ~糖尿病・内分泌内科医の立場から~
福岡 秀規 (神戸大学医学部附属病院)
細胞間隙経路を介した吸収促進技術の螺旋的発展
近藤 昌夫 (大阪大学大学院薬学研究科)
膜透過ペプチド固定化ヒアルロン酸を用いたバイオ医薬の経粘膜吸収促進
佐久間 信至(摂南大学薬学部)

ラウンドテーブルセッション6Round Table Session 6

薬物相互作用マネジメントのためのトランスレーショナル及びリバーランスレーショナル・リサーチ

オーガナイザー
内田 信也 (静岡県立大学薬学部)
米澤 淳  (京都大学大学院薬学研究科)
座長
前田 和哉 (東京大学大学院薬学系研究科)

患者さんの治療に際して薬物相互作用を適切にマネジメントするためには、まず科学的な知見の創出と臨床的なエビデンスの蓄積が必須となる。基礎研究から臨床適用へのトランスレーショナル・リサーチの役割は大きく、臨床からのフィードバックも重要である。近年の薬物相互作用ガイドラインの発表や医薬品添付文書の書式改正(2024年まで経過措置)など、相互作用情報を創出し、それらを適切に伝えることが注目されている。薬物相互作用マネジメントのためには、臨床現場だけでなく、アカデミアや教育現場から製薬企業にいたるすべての関係者の努力が必要である。本シンポジウムは、大学や製薬企業のエキスパートを演者に予定するとともに、日本医療薬学会学術第4小委員会と共催し臨床現場の薬剤師からマネジメントの実践例を話して頂く。さらに参加者によるディスカッションにより、さらに質の高い薬物相互作用マネジメント構築を目指したいと考える。

薬物相互作用マネジメントのための生理学的薬物速度論モデル解析の活用
工藤 敏之 (武蔵野大学薬学部 薬物動態学研究室)
医薬品の適正使用のための薬物相互作用マネジメント -新記載要領改定に伴う企業の取り組みを例に-
齋藤 素子 (第一三共(株))
臨床現場における薬物相互作用エビデンスの活用と課題
木村 丈司 (神戸大学医学部附属病院 薬剤部)

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